

ねぇ、みんな。突然だけど、この写真、どう思う?
スマホの画面をタップして、あの日の画像をみんなに見せる。風になびく茶色い髪、ほんのり頬を染めた少女が、まっすぐこっちを見つめている。背景には、どこまでも広がる青い空と、眩しいくらいの緑の丘。
「わー!すごい可愛い!これ、誰?」
「モデルさん?女優さん?」
「合成写真じゃないの?こんな完璧な子いる?」
みんなの興奮した声が飛び交う。無理もないよね。だって、この写真の女の子、実は——私なんだから。
え?信じられないって顔してる?だよね、私もそう思う。でも、これは紛れもない事実。というか、厳密に言えば「私」なんだけど、ちょっと複雑な話でね。
これ、撮ったのがちょうど去年の今頃かな。梅雨明けの、まだちょっと湿気を残した暑い日だったのを覚えてる。あの日はね、ちょっと特別な日だったんだ。
私、普段はあんまり外に出るのが好きじゃない、いわゆるインドア派ってやつでさ。休みの日は大体家でゴロゴロしてるか、漫画読んでるか、ゲームしてるか。そんな私が、珍しく「どこか行きたい!」って思ったんだよね。
きっかけは、たまたま見てたSNS。誰かが投稿してた、すごく綺麗な風景写真に目が釘付けになったんだ。見渡す限りの緑の丘が、空に吸い込まれるみたいに広がっていて、真ん中にポツンと一本の木が立ってる。キャプションには「秘密の場所」って書いてあって、場所は明かされてないんだけど、それがまた私の冒険心をくすぐったんだよね。
「ここ、どこだろう?行ってみたいな」
普段ならすぐに諦めるんだけど、その日はなぜか妙にワクワクして、気づいたらスマホで検索しまくってた。手がかりは少ないし、そもそも架空の場所かもしれないのに、なぜか無性に惹かれたんだ。
何時間も調べて、ようやくたどり着いたのが、徳島県の、本当に小さな町の、さらに奥地にあるという情報だった。しかも、「そこに行くには、すごく大変な道のりだよ」って注意書きまでついてて。
普通ならここで「やっぱ無理だわ」ってなるんだけど、その時の私は完全にスイッチが入ってたんだよね。「秘密の場所」っていう響きが、まるで私だけの宝物を見つけるような気持ちにさせてくれたんだ。
で、思い立ったが吉日!ってことで、次の日にはもう準備を始めてた。リュックに飲み物とサンドイッチ、それから一眼レフカメラを詰め込んで。普段ほとんど使わないカメラだけど、あの景色をこの目で見て、絶対に残しておきたいって思ったんだ。
当日は、本当に大変だったよ。電車を乗り継いで、バスに乗って、そこからはひたすら歩き。舗装されてない山道を、地図アプリと勘だけを頼りに進んだんだ。途中、何度か道に迷いそうになって、引き返そうかとも思った。汗だくで、足も棒みたいになってきて、「なんでこんなことしてるんだろう」って自問自答もした。
でも、その度に頭の中にあの丘の景色が浮かんで、もう少し、もう少しだけって自分を励ましたんだ。
そして、どれくらい歩いたんだろう。木々が途切れて、視界が開けた瞬間、私は思わず息をのんだ。
そこには、写真で見た通りの、いや、それ以上に美しい景色が広がっていたんだ。どこまでも続く緑の絨毯。風が吹くたびに、草がさざ波のように揺れて、まるで生きているみたいだった。空はどこまでも青くて、白い雲がゆっくりと流れていく。本当に、心が洗われるようだった。
「わぁ…」
思わず声が漏れた。その時の感動は、今でも鮮明に覚えてる。苦労してここまで来た甲斐があったって、心から思ったんだ。
その丘の真ん中には、一本の大きな木が立っていた。きっと、これが「秘密の場所」のシンボルなんだろうな。私はその木の下に座って、持ってきたサンドイッチを食べた。風が頬を撫でて、鳥の声が聞こえる。普段の喧騒から離れて、自分だけの世界にいるような、そんな不思議な感覚だった。
そして、この写真を撮ったのが、ちょうどその時なんだ。
最初は、あの丘の景色を撮ることに夢中になってたんだけど、ふと、自分もこの景色の一部になりたいって思ったんだよね。でも、一人旅だから、自撮りするしかない。でも、カメラのセルフタイマーって、意外と難しいんだよね。何度も失敗して、ようやく撮れたのが、この写真。
自分でもびっくりしたんだけど、この写真の私、なんかいつもと雰囲気が違うでしょう?普段はもっと地味な格好してるし、顔もこんなにはっきり写らないようにしてるんだけど。この日は、風が強くて髪がわさわさしてたから、自然とこんな感じになったのかな。
でもね、この写真には、あの日の私の気持ちが全部詰まってるんだ。苦労して辿り着いた場所で、最高の景色を前にして、心から感動してる私が。そして、普段は出さないような、ちょっとだけ自信のある表情の私が。
この写真を撮った後も、しばらく丘の上で過ごしたんだ。夕日が空をオレンジ色に染めていくのを見て、時間が止まればいいのにって思った。
帰り道は、なぜかあまり辛くなかったな。たぶん、心の中が、あの美しい景色でいっぱだったからだろうね。
家に帰って、写真を見返して、また感動した。何度も何度も見返して、その度にあの日の風の匂いや、草の感触を思い出したんだ。
この写真を見て、みんなが可愛いって言ってくれるのは、もしかしたら、あの時の私の、あの場所で感じた特別な気持ちが、写真を通して伝わってるからなのかなって思うんだ。
普段、こんな話を誰かにすることなんてないんだけど、この写真を見せたら、どうしても話したくなっちゃった。私にとって、あの場所は本当に特別な場所で、この写真は、その思い出をいつでも鮮やかに蘇らせてくれる宝物なんだ。
みんなにも、そんな「秘密の場所」ってある?誰にも言わないけど、自分にとってすごく大切な場所。そういう場所って、きっと、人生を豊かにしてくれるんだよね。
この写真も、あの日の記憶も、私だけの秘密の宝物。でも、ちょっとだけ、みんなにもおすそ分けしたくて、今日話してみたんだ。
ね、どうだった?私の「秘密の場所」の話。
このストーリー、および登場する画像はAIによって生成されたフィクションです。
あくまで創作としてお楽しみください。