孤独な女王の夜

2025年8月9日

窓の外は、もうとっくに闇に包まれている。 私は、この部屋の、誰も座ることのないベッドの上に座り、この夜の闇を、一人で独占している。 昼間の私を知る人は、この場所にいる私を見たら、きっと驚くだろう。 なぜなら、ここには、彼らが知っている私とは、まったく違う私が存在しているから。

私の肌に触れる、滑らかなサテンのガウン。 その深紅の色は、私の心の中で燃え上がる情熱を映しているようだ。 そして、その下には、黒いレースのランジェリー。 このレースの模様は、私の内面に秘められた、複雑で繊細な感情の羅列。 それは、決して人前で晒すことのない、私だけの秘密。

足元には、蜘蛛の巣のように、美しくも危険な香りを放つ網タイツ。 この網の目は、私を、外の世界の危険から守ってくれる盾であると同時に、 私という存在を、誰にも触れさせない、見えない檻でもある。 このタイツを履くと、私は、誰の助けも借りず、一人で生きていける、孤独な女王になれるような気がする。

ふと、自分の指に目をやる。 マニキュアを塗った爪が、薄暗い光の中で、怪しく輝いている。 それは、まるで、私という存在の鋭い部分を象徴しているようだ。 簡単に、人に心を開くことはしない。 そう、私の心は、誰にも傷つけられないように、いつも武装している。

この部屋には、私しかいない。 誰にも見られないこの時間、私は、自分の心と、素直に向き合える。 今日あった出来事、心の中に生まれた小さな喜びや、拭い去れない不安。 全てを、この闇の中に、そっと解き放つ。

私は、聖なる天使なんかじゃない。 光ばかりの場所にはいられない、暗闇に咲く花だ。 孤独だけが、私を強くしてくれる。 夜の闇だけが、私をありのままに受け入れてくれる。

そう、私は、孤独な女王。 この夜が明けるまで、私はこの場所で、誰にも邪魔されることなく、私だけの時間を生きる。 そして、また明日、太陽が昇れば、私はこの深紅のガウンを脱ぎ捨て、再び、社会という舞台へと戻っていく。 しかし、この夜の記憶が、私を、昼間の世界で強く生きていくための、秘密の力になってくれるだろう。